意匠設計
基本計画のあとの実施設計において、その建物の外観や使用目的に適したデザインを提案するのが「意匠設計」です。
住宅にしろオフィスにしろ、何かしらの建造物が作られるときにはその建物を使用するコンセプトや目的があります。
建物は単に機能をこなすことができればいいというものではなく、時に芸術的なデザイン性を持ったものにしていかなくてはいけません。
近年ではかなり高度な建築技術が発達してきたこともあり、それまでは不可能と思われてきたようなデザインの建物も、特殊な工事方法を用いることによってつくり上げることができるようになりました。
世界各国を代表する建造物の多くは、高さや規模だけでなく内部構造やモニュメントに非常に凝ったデザインを採用していることも多く、個性的なデザインの建物はそこで暮らす人や国の人にとって誇りにもなる象徴的な意味を持ってきます。
そこまで大規模な建築物でなくても、例えば個人の邸宅を新たに建築するときには、その建築主となる家族の意向がかなり大きく反映されていきます。
憧れのマイホームを建築するときには、誰しも大きな夢を持つものですから、そこでどのような住宅設計を提案していけるかということは建築士としての大きな社会的役割となります。
空間や外観をデザインする意匠設計を特に担当する人のことを「建築家」や「設計者」としてワンランク高い位置の人材とする場合もあり、まさに建築設計の花形職であると言えます。
意匠設計を担当する建築家が作成するのは、建築物の平面計画や立体的な空間設計、それに使用材料などです。
設計の順序としては、まず「配置図」として実際に建築される土地の形状や地盤の特性などに適した建物の配置をします。
配置図では、近隣の建物との位置関係や高低関係のほか、配水管の位置を考えてどのように建物を置くのがよいかを決めます。
次に配置図に従い「平面図」を作成します。
平面図はいわゆる設計図とされるもので、建物内部の間取りやドアの位置、窓の大きさや配置などのレイアウトを決めます。
平面図がしっかりとまとまったら、そこから「矩計図(かなばかりず)」という建物の構造上必要にある下地から仕上げまでの寸法を詳細に決めていきます。
このとき床材や柱、など建物の重要な構造部分の材質なども決めていきます。
意匠設計は建物に対して使用者の満足度を大きく左右する、最も大きな要因となります。
それだけに簡単には話がまとまらないことも多いのですが、そこでどのように建築主の意向を聞き出し、それに沿った提案ができるかが建築士としてのスキルの高さとなります。